pingコマンドの使い方と結果の見方 — 通らない時の原因と切り分け

公開: 2026年10月 カテゴリ: インフラ実務

「サーバーにつながらない」と言われたら、まず打つのが ping です。ただ、pingが通らない=相手が止まっている、とは限りませんし、pingが通る=サービスが使える、とも限りません。この記事では、pingの仕組みと結果の見方、よく使うオプション、エラー別の原因、そして切り分けの順番を、Windowsの実際の表示を使って整理します。

pingとは — 「届くか」と「往復の時間」を調べる

pingは、相手にICMP(アイシーエムピー)のエコー要求を送り、エコー応答が返ってくるかを調べるコマンドです。返ってくれば「ネットワーク上で相手まで届いている」と分かり、往復にかかった時間も表示されます。Windows・Mac・Linuxのどれにも標準で入っています。

ICMPはIPと同じネットワーク層の仕組みで、ポート番号を使いません。そのため、pingで分かるのは「IPアドレスまで届くか」までです。Webやリモートデスクトップなど、特定のポートのサービスが使えるかは別に確かめる必要があります(後述)。

基本の使い方と結果の見方

Windowsならコマンドプロンプト(またはPowerShell)で、相手のIPアドレスか名前を付けて実行します。

ping 8.8.8.8
ping www.example.com

名前を指定すると、先に名前解決(DNS)をしてからpingを送ります。Windowsでは、何も付けないと4回送って止まります。

8.8.8.8 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =20ms TTL=116
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =19ms TTL=116
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =20ms TTL=116
8.8.8.8 からの応答: バイト数 =32 時間 =21ms TTL=116

8.8.8.8 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
    最小 = 19ms、最大 = 21ms、平均 = 20ms
表示意味見るポイント
時間 =20ms往復にかかった時間(応答時間)同じLAN内なら1ms前後、国内のインターネットなら数十ms程度が目安。急に大きくなったら混雑や経路の変化を疑う
TTL=116相手から届いたパケットの残り寿命ルーターを1台越えるごとに1減る。Windowsは128、Linuxは64から始まることが多いので、おおよその距離やOSの見当がつく
損失 = 0 (0% の損失)返ってこなかった割合ときどき失われるなら、回線の品質やWi-Fiの電波を疑う

PowerShellには同じ働きの Test-Connection -ComputerName 8.8.8.8 -Count 4 もあります。

よく使うオプション(WindowsとLinuxの対応)

WindowsとLinux(Macもほぼ同じ)で、同じ働きでも文字が違うので注意してください。

やりたいことWindowsLinux
止めるまで打ち続ける-t(Ctrl+Cで止める)何も付けない(Ctrl+Cで止める)
回数を決める-n 回数-c 回数
送るデータの大きさ-l バイト数(既定32)-s バイト数(既定56)
分割禁止(DF)を付ける-f-M do
応答を待つ時間-w ミリ秒-W 秒
送るときのTTL-i TTL-t TTL
IPv4/IPv6を指定-4/-6-4/-6
IPアドレスから名前を引く-a(なし。名前は既定で表示される)

Windowsの -t で打ち続けている間に Ctrl+Break を押すと、止めずにそこまでの統計を表示できます。機器の再起動中に ping -t を打っておき、応答が戻った瞬間を確かめる使い方は現場の定番です。

エラー表示別の原因

表示(Windows)意味主な原因
要求がタイムアウトしました。決まった時間内に応答が返らない相手が止まっている、途中で遮断されている、相手のファイアウォールがpingを受け付けない
宛先ホストに到達できません。途中の機器(または自分)が「その先へ届けられない」と返した同じLANの相手ならMACアドレスを調べられない(電源オフ・IPの間違い)、ルーターにその宛先への経路がない
ping 要求ではホスト ○○ が見つかりませんでした。名前からIPアドレスを引けなかった名前の打ち間違い、DNSサーバーに届かない、DNSに登録がない
転送中に TTL が期限切れになりました。途中のルーターでTTLが0になった経路がループしている(同じ所を回っている)、-i で小さいTTLを指定した
パケットの断片化が必要ですが、DF が設定されています。分割禁止のパケットが、途中の経路に対して大きすぎたMTUを調べているとき(後述)。VPNなどで通れる大きさが小さくなっている
一般エラーです。自分のPCの中で送信に失敗したネットワークアダプターの無効化、セキュリティソフト、IPアドレスの設定不備

注意したいのは、「宛先ホストに到達できません」や「TTL が期限切れ」も、統計では「受信」に数えられることです。統計の「損失 = 0%」だけを見て安心せず、応答の行が「相手のIPアドレス からの応答: バイト数 = …」になっているかを確認してください。

つながらない時の切り分けの順番

近い所から順にpingを打つと、どこで止まっているかが分かります。

順番打つ先失敗したら疑うこと
1127.0.0.1(自分自身)自分のPCのTCP/IPが正しく動いていない
2自分のIPアドレス(ipconfig で確認)ネットワークアダプターの設定や状態
3デフォルトゲートウェイ(ルーター)LANケーブル・Wi-Fi・スイッチなど、同じネットワーク内
4インターネット上のIPアドレス(例 8.8.8.8)ルーターから先、回線やプロバイダー
5名前(例 www.example.com)4は通るのに5だけ失敗なら、名前解決(DNS)

社内のサーバーが相手なら、4・5の代わりに「サーバーのIPアドレス」→「サーバーの名前」の順に打ちます。どこまで届いているかは、経路上のルーターを順に表示する tracert(Linuxは traceroute)でも確認できます。

pingが通るのにつながらない/pingが通らないのにつながる

pingは「IPアドレスまで届くか」だけを見るので、次の食い違いがよく起きます。

状況理由次に確認すること
pingは通るのに、Webやリモートデスクトップにつながらないサービスが止まっている、ファイアウォールでそのポートだけ止まっているTest-NetConnection -ComputerName 相手 -Port 443 でポートまで届くか(ポートの確認方法)
pingは通らないのに、Webなどは使える相手やファイアウォールがpingだけを止めている異常ではないことが多い。Windowsは初期設定でpingに応答しないことがある

WindowsのPCやサーバーにpingを通したいときは、相手側のファイアウォールで「ファイルとプリンターの共有(エコー要求 - ICMPv4 受信)」の規則を有効にします。PowerShellなら管理者として Enable-NetFirewallRule -Name FPS-ICMP4-ERQ-In です。外部に公開しているサーバーでは、必要な範囲に絞ってください。

pingでMTU(通れる最大サイズ)を調べる

VPN越しだと「小さいデータは届くのに、大きいファイルだけ止まる」ことがあります。分割禁止(DF)を付けたpingで、通れる大きさを調べられます。

:: 1472バイト+ヘッダー28バイト=1500バイトで試す
ping -f -l 1472 8.8.8.8

:: 「パケットの断片化が必要ですが、DF が設定されています。」と出たら、数字を小さくして再実行
ping -f -l 1400 8.8.8.8

応答が返る最大の数字に28(IPヘッダー20バイト+ICMPヘッダー8バイト)を足したものが、その経路で通せるMTUです。一般的なイーサネットでは1500で、1472が通れば1500ということになります。

よくある質問

Q. pingの応答時間はどれくらいなら正常?
A. 回線や距離によるので一概には言えませんが、同じLAN内なら1ms前後、国内のインターネット上なら数十ms程度が目安です。普段の値を知っておき、そこから急に増えたかどうかで判断します。

Q. 「要求がタイムアウトしました」なら、相手は止まっている?
A. 止まっているとは限りません。相手のファイアウォールがpingを受け付けていないだけのこともあります。ポートまで届くか(Test-NetConnection)や、ほかの方法でも確認してください。

Q. 名前でpingすると失敗し、IPアドレスなら通るのは?
A. 名前解決(DNS)の問題です。nslookup 名前 で引けるか、PCが参照しているDNSサーバー(ipconfig /all で確認)が正しいかを見ます。確認の手順は 名前解決できない時の切り分け にまとめています。

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