OSI参照モデルとは? 7層の役割をやさしく図解

公開: 2026年6月 カテゴリ: ネットワーク入門

ネットワークを学ぶと必ず出てくる「OSI参照モデル」。7つの層に分けて考える、という話です。丸暗記しようとすると挫折しますが、「役割を分担している」という視点で見ると一気に腑に落ちます。この記事では、7層それぞれの役割、カプセル化、機器が何層で動くか、TCP/IPモデルとの対応までを図解で解説します。

OSI参照モデルとは — 通信を7層に分けた地図

OSI参照モデルは、コンピュータ同士が通信する仕組みを7つの層(レイヤ)に分けて整理した国際的なモデルです。各層は「自分の担当だけ」を行い、上下の層とは決められた形でやり取りします。役割を分けることで、どこに問題があるかを切り分けやすくなり、機器やソフトを部品のように組み合わせられます。「ネットワークがつながらない」ときに「物理層(ケーブル)から順に上へ確認する」——この考え方の土台がOSIモデルです。

7つの層と役割(上から下へ)

名前役割の一言代表例
7アプリケーション層アプリへのサービスHTTP, DNS, SMTP
6プレゼンテーション層表現形式の変換・暗号化SSL/TLS, 文字コード
5セッション層対話の開始〜終了の管理セッション管理
4トランスポート層確実に届ける・ポート区別TCP, UDP
3ネットワーク層別NWへの経路選択(IP)IP, ルーター
2データリンク層同一NW内の転送(MAC)イーサネット, スイッチ
1物理層ビットを信号で送るケーブル, ハブ

覚え方の語呂として「アプ・プレ・セ・ト・ネ・デ・ブツ(物理)」のように頭文字で唱える方法もあります。ただ、語呂より「下ほど物理に近く、上ほど人間に近い」という感覚を持つほうが、実務でも試験でも応用が利きます。

カプセル化 — データが層を下りながら「ラベル」を貼っていく

OSIモデルで最も大切な考え方がカプセル化です。送信側でデータが下の層へ進むたびに、その層の制御情報(ヘッダ)が前に付け足されていきます。荷物(データ)に宛先ラベルを何重にも貼っていくイメージです。受信側では逆に、上の層へ進むたびにヘッダを1枚ずつ外していきます(デカプセル化)。

層を下りるたびにヘッダが付き、呼び名(PDU)が変わる データ 第5〜7層:データ TCP データ 第4層:セグメント IP TCP データ 第3層:パケット MAC IP TCP データ FCS 第2層:フレーム 中身(データ)は同じ。外側に付いたヘッダの数が違うだけ、と理解すると混乱しない
図1: TCPヘッダ→セグメント、IPヘッダ→パケット、MAC+FCS→フレーム。PDUの呼び名が層で変わる

データの単位(PDU)の呼び名が層ごとに変わるのもポイントです。第4層=セグメント、第3層=パケット、第2層=フレーム、第1層=ビット。この対応は試験の頻出ポイントです。

📦 カプセル化を動かして見るなら:当サイトのOSI参照モデルの可視化で、データが送信側で7→1層を下りてヘッダが付き(カプセル化)、受信側で1→7層を上って外れる(デカプセル化)様子を1ステップずつ確認できます。各層の役割・プロトコル・機器も表示されます。

どの機器が何層で働く?(頻出)

機器が「どの層の情報を見て動くか」は試験でも実務でも重要です。番号が大きい機器ほど「賢く」中身を見て判断します。

機器見ている情報
リピータ・ハブ第1層(物理)信号をそのまま中継するだけ
ブリッジ・L2スイッチ第2層(データリンク)MACアドレスで転送先を判断
ルーター・L3スイッチ第3層(ネットワーク)IPアドレスで経路選択

「LANケーブルをつないだのに通信できない」なら第1〜2層、「同じLAN内は見えるが別のネットワークに出られない」なら第3層(ルーティング)——というように、層で切り分けると原因究明が速くなります。

OSIモデルとTCP/IPモデルの対応

実務でよく使われるTCP/IPモデル(4層)は、OSIの7層をまとめたものです。両者の対応はこうなります。

TCP/IPモデル(4層)OSI参照モデル(7層)
アプリケーション層7 アプリ/6 プレゼン/5 セッション
トランスポート層4 トランスポート
インターネット層3 ネットワーク
ネットワークインターフェース層2 データリンク/1 物理

OSIモデルは「概念を整理する地図」、TCP/IPモデルは「実際にインターネットで動いている実装」と考えると使い分けがすっきりします。

各層の役割をもう少し詳しく

第7層 アプリケーション層 … HTTP・DNS・SMTPなど、ユーザーが使うアプリに直接サービスを提供。
第6層 プレゼンテーション層 … 文字コード変換・暗号化・圧縮など「表現形式の翻訳」。
第5層 セッション層 … 通信の開始から終了までの「対話(セッション)」の管理。
第4層 トランスポート層 … TCP(信頼性)/UDP(高速)で、確実に届ける・ポート番号でアプリを区別。
第3層 ネットワーク層 … IPアドレスで別ネットワークまで経路選択(ルーティング)。
第2層 データリンク層 … MACアドレスで同じネットワーク内の隣の機器へ届ける。誤り検出も。
第1層 物理層 … 0と1のビットを電気信号・光・電波として物理的に送る。

基本情報技術者試験ではこう出る

「各プロトコルが何層か(HTTP=7層、TCP=4層、IP=3層、イーサネット=2層)」「機器が何層で動くか(ルーター=3層、スイッチ=2層、ハブ=1層)」「PDUの呼び名」が定番です。TCP/IPモデルとの対応も問われます。丸暗記より、カプセル化を一度“動く図”で見て、流れとして覚えるのが定着の近道です。

まとめ

OSI参照モデルは、通信を7層に分けた「役割分担の地図」。下ほど物理、上ほど人間に近いという感覚と、カプセル化でヘッダが増減する流れをつかめば、各層・機器・PDUの対応も自然と頭に入ります。可視化で動かして、体で覚えましょう。

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