IPアドレスの仕組みをやさしく解説 — プライベート・グローバル・IPv6を図解

公開: 2026年6月 カテゴリ: ネットワーク入門

「自分のIPアドレスを調べたら、家のPCに出た番号とサイトに表示された番号が違った」——この“あるある”の正体が、プライベートIPとグローバルIPの違いです。この記事では、IPアドレスの基本から、2種類のIPの使い分け、NAT、IPv4枯渇とIPv6までを、図解でひととおり理解できるように解説します。

IPアドレスとは — インターネット上の「住所」

IPアドレスは、ネットワーク上の機器に割り当てられる住所(番号)です。手紙を届けるのに住所が必要なように、データ(パケット)を正しい相手に届けるにはIPアドレスが必要です。私たちが普段使う「infravis.dev」のようなドメイン名は人間用の名前で、通信の直前にDNSという仕組みでIPアドレスに変換されます(この流れはDNS名前解決の可視化で目で追えます)。

いま広く使われているIPv4は、192.168.1.10 のように0〜255の数字を4つ並べた形です。1つの数字(オクテット)は8ビットなので、全体で32ビット。組み合わせは約43億通りあります。

プライベートIPとグローバルIP

IPアドレスには、大きく2種類あります。

グローバルIP … インターネット上で世界にひとつだけの住所。世界中の誰からでも届く公の住所です。
プライベートIP … 家庭や社内など閉じたネットワークの中だけで使う住所。別の家と番号が重複してもかまいません(あなたの家の 192.168.1.10 と、隣の家の 192.168.1.10 は別物)。

家庭・社内ネットワーク (プライベートIP) 💻 PC 192.168.1.10 📱 スマホ 192.168.1.11 🖨 プリンタ 192.168.1.12 🔀 ルーター 内: 192.168.1.1 外: 203.0.113.5 🌐 インターネット 世界に1つのグローバルIP 203.0.113.5 中の機器はプライベートIP。ルーターが1つのグローバルIPにまとめて外と通信する
図1: 家庭内はプライベートIP、外に出るときはルーターのグローバルIP1つを共有する(※IPは説明用の例)

プライベートIPの範囲は決まっている

プライベートIPとして使ってよい範囲は、RFC1918という文書で次のように決められています。この範囲外はすべてグローバルIP(世界の誰かに割り当てられている)です。

範囲表記主な用途
10.0.0.0 〜 10.255.255.25510.0.0.0/8大規模ネットワーク
172.16.0.0 〜 172.31.255.255172.16.0.0/12中規模
192.168.0.0 〜 192.168.255.255192.168.0.0/16家庭用ルーターの定番

家庭用ルーターで 192.168.x.x をよく見るのはこのためです。8.8.8.8(GoogleのDNS)のような番号はこの範囲外なので、グローバルIPだと分かります。

NAT — プライベートIPが「化けて」外に出る

プライベートIPはインターネットにそのまま出られません。そこでルーターが、プライベートIPを自分のグローバルIPに変換して外と通信します。これがNAT(Network Address Translation)です。さらに、送信元のポート番号を機器ごとに変えることで、1つのグローバルIPを多数の機器で共有できます(これをNAPT/IPマスカレードと呼びます)。

NATの変換テーブル(ルーターが記録) 192.168.1.10 : 50000 203.0.113.5 : 60001 192.168.1.11 : 50000 203.0.113.5 : 60002 同じグローバルIPでも、ポート番号(60001 / 60002)で機器を区別 → 1つのIPを共有できる
図2: NAPTはポート番号で機器を見分ける。だから家中の機器が1つのグローバルIPで外に出られる

この「化け方」は動かして見ると腑に落ちます。プライベートIP⇄グローバルIPの可視化で、パケットの送信元IPが書き換わり、変換テーブルに記録される様子をステップごとに確認できます。

なぜIPv6が必要になったのか

IPv4のグローバルIPは約43億個。多そうに見えますが、世界中のスマホ・PC・IoT機器に配るにはまったく足りません(IPv4アドレス枯渇問題)。NAPTで「1つのグローバルIPを多数で共有」してしのいできましたが、根本解決として登場したのがIPv6です。

IPv6は 2400:xxxx:... のようにコロン区切りの128ビットで、アドレス数は約340澗(約3.4×10³⁸)——事実上、無限といっていい量です。数が潤沢なので、IPv6ではNATを使わず機器に直接グローバルアドレスを割り当てるのが一般的です。

IPv4 192.168.1.10 32ビット / 約43億個 → 足りない(NATで延命) IPv6 2400:xxxx:...:9015 128ビット / 約3.4×10³⁸個 → 事実上無限(NAT不要)
図3: IPv4とIPv6。日本の光回線(IPoEなど)では標準でIPv6が使われることも増えている

🌐 自分のグローバルIPを確認するなら:当サイトのグローバルIPアドレス確認で、いまあなたがインターネットから見えている住所(IPv4/IPv6の判別つき)を表示できます。家のPCの ipconfig(Windows)や ip a(Linux/Mac)で見えるプライベートIPと、見比べてみてください。

サブネットの考え方(少しだけ発展)

IPアドレスは「ネットワーク部」と「ホスト部」に分かれます。どこまでがネットワーク部かを示すのが /24 のようなプレフィックス長(サブネットマスク)です。192.168.1.0/24 なら先頭24ビットがネットワークを表し、残り8ビット(=256個)が各機器用。プレフィックスを1増やすと、ネットワークは半分ずつに分割されていきます。この分割の様子はサブネット分割の可視化で、実際に計算しながら確認できます。細かい計算はCIDR計算機にまかせるのが実務では速いです。

よくある質問

Q. IPアドレスから個人が特定されますか?
A. グローバルIPだけで氏名や住所が分かることはありません。おおよその地域や契約プロバイダが推定できる程度です。ただしプロバイダは契約者情報と紐づけて管理しているため、法的手続きがあれば追跡され得ます。

Q. なぜサイトによって表示IPが違うことがあるの?
A. 主に2つの理由です。①IPv4とIPv6の両方を持っているため、接続先の対応状況で表示が変わる。②途中にプロキシ(中継)が挟まると相手にはプロキシのIPが届く、というものです。どちらもネットワークの仕組みどおりの現象です。

Q. IPアドレスは固定できますか?
A. 多くの家庭向け回線はグローバルIPが動的(時々変わる)です。固定したい場合は「固定IP」サービスの契約が必要です。プライベートIP側は、ルーターのDHCP設定で機器ごとに固定できます。

まとめ

IPアドレスは「インターネットの住所」。家庭内はプライベートIP、外に出るときはグローバルIPNATで共有する——この3語で全体像がつかめます。IPv4の枯渇を受けてIPv6への移行も進行中です。仕組みを「動く図」で見ると定着が早いので、下の関連ページもぜひ触ってみてください。

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