ファイル通信の種類と特性をやさしく図解 — SMB・NFS・FTP・SFTP・SCP・rsync

公開: 2026年7月 カテゴリ: ネットワーク入門

SMB、NFS、FTP、SFTP、FTPS、SCP、rsync……ファイルのやり取りに使うプロトコルは種類が多く、名前も紛らわしいです。でも「共有か、転送か」という軸で分けると、一気に整理できます。この記事では、2つの方式の違いから、各プロトコルの特性(ポート・暗号化・用途)、そして混同しやすいSFTPとFTPS・SCPとSFTPの違いまでを図解します。ポートやプロトコルの全体像は ポート番号とは通信プロトコルとは も参考に。

まず大きく2種類 — 「共有」と「転送」

ファイル通信は、目的によって大きく2つに分かれます。ここを押さえると、どのプロトコルがどちらの仲間かが見えてきます。

「共有(マウント)」と「転送(コピー)」の違い ファイル共有(SMB・NFS) 🖥️ PC(Z:ドライブ) 🗄️ サーバー共有 📄 実体はここ マウント 実体は動かさず、その場で開く/保存 ファイル転送(FTP・SCP…) 🖥️ 送信元 📄 元ファイル 🖥️ 送信先 📄 複製 コピー ファイルの実体を複製して移す 共有=ネットワークドライブとして日常使い / 転送=ファイルをまとめて受け渡す
図1: 共有は「実体を置いたままマウントして使う」、転送は「実体をコピーして移す」。ここが最初の分かれ道

ファイル共有系 — SMB と NFS

SMB(Server Message Block)は、Windowsのファイル・プリンター共有で使われる定番です。エクスプローラーで \\server\share を開いたり、Z: ドライブに割り当てたりするのがこれ。現在はTCP 445番を使います(古くはNetBIOSの139番)。LinuxではSambaがSMBを実装しています。
NFS(Network File System)は、UNIX/Linux系の定番の共有方式で、リモートのディレクトリを自分のツリーにマウントして使います(ポート2049)。

SMBのバージョンに注意:SMB1・SMB2・SMB3があり、SMB1はWannaCry(EternalBlue)で悪用された重大な脆弱性があるため無効化推奨。暗号化に対応したSMB3を使うのが安全です。

ファイル転送系 — FTP とその安全版

FTP(File Transfer Protocol)は古くからある転送方式ですが、通信が平文(パスワードも丸見え)で、そのままではもう使いません。制御用21番とデータ用20番(またはパッシブモードで別ポート)の2本を使うのが特徴です。安全にするために、次の2つが生まれました。

混同しやすい3つをはっきりさせる

安全なファイル転送:土台が「SSH」か「TLS付きFTP」か SSH(ポート22)が土台 SFTP フル操作・推奨 SCP 単純コピー・旧式 1本の接続・ファイアウォールに優しい SFTPは一覧/削除/再開OK、SCPはコピーのみ → 基本はSFTPを使う FTP+TLS が土台 FTPS FTPをTLSで暗号化 制御+データの複数ポートを使う ファイアウォール越えが複雑になりがち SFTPとは名前が似るが別物
図2: SFTP・SCPは「SSH(22)」が土台、FTPSは「FTP+TLS」が土台。SFTPとFTPSは名前が似ていても仕組みが別

① SFTP と FTPS:名前は似ていますが土台が違う別物。SFTP=SSH上(22番・1接続・FW◎)、FTPS=FTP+TLS(複数ポート・FW△)。近年はSFTPが主流。
② SCP と SFTP:どちらもSSH(22)上ですが、SCPは単純コピーだけ(一覧・再開・削除は不可)で仕様上の問題もあり非推奨の流れ。SFTPはフル操作ができ推奨。
③ 共有 と 転送:SMB/NFSは「マウントして使う」、FTP系/SCP/SFTPは「コピーして移す」。

その他のファイル通信

一覧で比較

プロトコル種別ポート暗号化主な環境・用途
SMB共有445SMB3で対応Windowsのファイル・プリンター共有
NFS共有2049バージョン依存UNIX/Linuxのファイル共有
FTP転送20/21なし(平文)旧式。現在は非推奨
FTPS転送21+データTLSFTPの暗号化版
SFTP転送22SSH安全な転送の主流。FW◎
SCP転送22SSH単純コピー(旧式・非推奨傾向)
rsync転送(差分)22 / 873SSH経由で可差分同期・バックアップ
WebDAV転送/共有80/443HTTPSで対応HTTP経由。FW・プロキシに強い
TFTP転送69(UDP)なし機器の起動・ファーム配布

コマンド例

:: SMB共有をZ:ドライブに割り当て(Windows)
net use Z: \\server\share

# SCP:ファイルをリモートへコピー
scp ./data.zip user@host:/home/user/

# SFTP:対話的にファイル操作
sftp user@host

# rsync:差分だけ同期(SSH経由・進捗表示)
rsync -avz --progress ./src/ user@host:/backup/

セキュリティの原則

ファイル通信は認証情報やファイル本体が流れるため、暗号化の有無が重要です。平文のFTP・Telnet・SMB1・認証なしのTFTPは避けSFTP/FTPS/SMB3/HTTPS(WebDAV) など暗号化された方式を使うのが原則。社内でも盗聴・改ざんのリスクはあるため、可能な限り暗号化された経路を選びます。証明書・暗号化の仕組みは ディジタル証明書SSL/TLSの可視化 をどうぞ。

基本情報技術者試験ではこう出る

「FTPの制御用ポート(21)とデータ用ポート(20)」「FTPは平文で危険→安全な代替は?」「各プロトコルの用途」などが問われます。ファイル転送=FTP系、暗号化=SFTP/FTPS、というつながりを、ポート番号プロトコル全体像とセットで押さえておくと確実です。

よくある質問

Q. 結局、安全にファイルを送るなら何を使えばいい?
A. サーバーへSSHでログインできるならSFTPが最も手軽で安全(FWにも優しい)。既存のFTPサーバー資産を活かすならFTPS。大量ファイルの定期同期・バックアップならrsync(SSH経由)が効率的です。

Q. ネットワークドライブ(Z:など)はどのプロトコル?
A. Windowsなら通常SMBです。サーバー上のフォルダをドライブとしてマウントし、その場で読み書きします(=ファイル共有)。ファイルを手元にコピーする転送とは考え方が違います。

Q. クラウドストレージ(S3など)はこの仲間?
A. 少し系統が違います。Amazon S3などのオブジェクトストレージはHTTP/HTTPSベースのAPIでファイル(オブジェクト)をやり取りします。SMBのようにドライブとしてマウントする使い方も可能ですが、基本は「HTTPで取得・格納する」点でWebDAVに近い発想です。

まとめ

ファイル通信は、まず「共有(マウントして使う:SMB・NFS)」と「転送(コピーして移す:FTP系・SCP・rsync)」で二分。転送のうち安全なのはSSH土台のSFTP/SCPTLS付きのFTPSで、SFTPとFTPSは名前が似ても別物SCPよりSFTP推奨。平文のFTP・SMB1は避け、暗号化された方式を選ぶ——これで種類と特性の全体像がつかめます。

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