OSIの動きを実物で可視化 — どの機器が動く?

「アプリケーション層のときはソフトウェア、物理層のときはLANケーブル……」——OSIの各層が、実際のパソコン・OS・NIC(LANカード)・ケーブル・スイッチ・ルーターのどこで動いているかを、機器をハイライトしながら見せます。ソフトを選んで「進む」を押し、上の層から下の層へ、どこが作用するかを確かめてください。

例:
💻 あなたのPC(送信側) ソフトウェア(アプリ/表現/セッション) 🌐 ブラウザ OS の TCP/IP スタック (トランスポート/ネットワーク) 🔌 NIC(LANカード) データリンク層 LANケーブル(物理層) 🔀 スイッチ L2 🧭 ルーター L3 ☁ インターネット /サーバー ↓ 上の層から下の層へデータが下りていく(カプセル化)

この層は「どこ」で動く?

OSIの各層は「実物のどこ」で動くのか

OSIの層は抽象的ですが、実際には役割ごとに“動く場所”が決まっています。上の可視化のとおり、大きく分けると次のようになります。

層実際に動く場所
7 アプリケーションアプリ本体(ブラウザ・メールソフト・エクスプローラーなど)
6 プレゼンテーションソフト/ライブラリ(文字コード変換・TLS暗号化)
5 セッションソフト/OS(通信の開始・終了の管理)
4 トランスポートOSのTCP/IPスタック(ポート・TCP/UDP)
3 ネットワークOSのTCP/IPスタック + 途中のルーター
2 データリンクNIC(LANカード) + スイッチ
1 物理LANケーブル・光ファイバー・電波(NICの物理部分)

ざっくり言うと、上位層(5〜7)はソフトウェア、中位層(3〜4)はOS、下位層(1〜2)はハードウェア(NIC・ケーブル・スイッチ・ルーター)で動いています。だから「アプリの不具合はアプリ層、ケーブルを挿し直して直るなら物理層、IPが届かないならネットワーク層…」というように、トラブルの切り分けにもそのまま使えます。

自分のPCで、各層の「実物」を確かめる

上の可視化で見た各層は、Windowsのコマンドで実際に中身をのぞけます。PowerShellやコマンドプロンプトで次のコマンドを実行すると、その層が扱っている情報が表示されます。

層コマンド見えるもの
1 物理層Get-NetAdapterStatus(Up ならケーブルや無線がつながっている)と LinkSpeed(1 Gbps など、つながっている速さ)
2 データリンク層getmac、arp -a自分のNICのMACアドレス(00-1A-2B-3C-4D-5E のような12桁の16進数)と、同じLANの相手のMACアドレス
3 ネットワーク層ipconfig、route print自分のIPアドレスと、宛先 0.0.0.0 の行に書かれたデフォルトゲートウェイ(LANの外へ出るときに渡すルーター)
4 トランスポート層Get-NetTCPConnectionいまつながっている通信ごとの、自分側と相手側のポート番号(HTTPSなら相手側が 443)
7 アプリケーション層ブラウザの開発者ツール(F12 → ネットワーク)ブラウザが送ったHTTPリクエストと、サーバーから返ってきた応答

1層から順に見ていくと、物理的なつながり(1層)の上にMACアドレス(2層)、その上にIPアドレス(3層)、さらにポート番号(4層)が乗っていることが分かります。通信のトラブルを調べるときも、この順番で確かめていくのが基本です(下の層から確かめる切り分け)。

もっと深く理解する

データが層ごとにヘッダで包まれる「封筒の入れ子」や、覚え方(アプセトネデブ)は OSIをたとえで理解する、基礎からの解説は OSI参照モデルとは(基礎記事)、各層の詳細は OSI 7層エクスプローラー、カプセル化の往復アニメは OSIの可視化 で確認できます。機器と層の関係は スイッチのMAC学習・IPとMAC もあわせて見てみてください。

基本情報技術者試験ではこう出る

「リピータ/ハブは第1層、スイッチ/ブリッジは第2層、ルーターは第3層」という機器と層の対応が定番です。この可視化で、各機器が“どの層まで見て動くか”を押さえておけば確実です。関連:OSIをたとえで理解する / OSIの可視化 / 可視化一覧。

よくある質問

Q. スイッチにはIPアドレスがないの?
A. 通信を中継する仕事だけなら、スイッチはMACアドレス(2層)だけを見て転送するので、IPアドレスはいりません。ただし、管理機能つきのスイッチは、設定画面に入るための管理用IPアドレスを持っています。これは中継とは別の、スイッチ自身への入り口です。

Q. Wi-Fi(無線LAN)は何層?
A. Wi-Fiの規格(IEEE 802.11)は、電波で0と1を送る1層と、MACアドレスで相手を決める2層を定めています。ケーブルが電波に替わっただけで、3層より上(IPやTCP)は有線LANと同じです。