表計算の基本と関数をやさしく図解 — 相対参照・絶対参照・IF・VLOOKUP

公開: 2026年7月 カテゴリ: 基礎理論

「$マークって何?」「コピーしたら計算が狂った」——表計算でつまずく原因のほとんどは相対参照と絶対参照の理解不足です。この記事では、セルのしくみから、参照の違い($の意味)、そしてSUM・IF・VLOOKUPなどよく使う関数までを図解します。基本情報の表計算問題にも直結します。

表計算の基本 — セル・行・列

表計算ソフトは、マス目(セル)にデータや計算式を入れて使います。セルは列(A・B・C…=縦)行(1・2・3…=横)の交点で表され、A1B3 のように「列+行」で位置を示します(セル番地)。セルには数値・文字のほか、= で始まる計算式を入れられ、他のセルの値を参照して自動計算できます。

相対参照と絶対参照 — ここが最重要

数式をコピーしたときの挙動が2種類あります。ここが表計算最大のつまずきポイントです。

数式を下にコピーしたときの違い 相対参照 =A1*2 =A1*2 =A2*2 ← ずれる =A3*2 ← ずれる 行番号がコピー方向に自動でずれる 絶対参照 =A1*$B$1 =A1*$B$1 =A2*$B$1 ← 固定 =A3*$B$1 ← 固定 $を付けたB1は動かない(税率などの固定値に) $列$行 で固定。$B$1=完全固定、B$1=行だけ固定、$B1=列だけ固定(複合参照)
図1: コピーで動かしたくないセル(消費税率など)は絶対参照$で固定する

典型例:各商品の「金額×消費税率」を計算するとき、金額は行ごとに変わる(相対参照)けれど、税率のセルは常に同じ1か所を見たい(絶対参照)。だから =B2*$E$1 のように書けば、下にコピーしても税率セル $E$1 は固定されたまま、金額 B2 だけがずれて正しく計算できます。

よく使う関数

関数できること
SUM合計=SUM(B2:B10)
AVERAGE平均=AVERAGE(B2:B10)
MAX / MIN最大 / 最小=MAX(B2:B10)
COUNT数値の個数=COUNT(B2:B10)
COUNTIF条件に合う個数=COUNTIF(B2:B10,">=60")
SUMIF条件に合うものの合計=SUMIF(A2:A10,"果物",B2:B10)
IF条件で値を切り替え=IF(B2>=60,"合格","不合格")
VLOOKUP別表から照合して取得=VLOOKUP(A2,表,2,FALSE)

B2:B10 のような書き方は「B2からB10までの範囲」を表します。範囲をまとめて指定できるのが表計算の強みです。

IF関数 — 条件で分ける

IF(条件, 真のときの値, 偽のときの値) で、条件が成り立つかどうかで表示を切り替えます。

=IF(B2>=60, "合格", "不合格")

「B2が60以上なら合格、そうでなければ不合格」。3段階以上に分けたいときは、IFの中にIFを入れるネスト(入れ子)を使います。

=IF(B2>=80,"A", IF(B2>=60,"B", "C"))

複数条件を組み合わせるなら ANDOR論理演算と同じ考え方):=IF(AND(B2>=60, C2>=60), "両方合格", "不合格あり")

VLOOKUP — 別表から引っぱってくる

VLOOKUP(照合検索)は、表の左端の列からキーを探し、同じ行の指定列の値を取り出す関数です。「商品番号から商品名を引く」ような、別表からの照合に使います。SQLのJOINと似た「キーで対応づける」操作を、表計算で行うイメージです。

=VLOOKUP(検索する値, 探す表の範囲, 取り出す列番号, FALSE)

最後の FALSE は「完全一致で探す」の指定です(これを忘れると意図しない近似一致になることがあるので注意)。

基本情報技術者試験ではこう出る

「数式をコピーしたときの結果(相対参照・絶対参照)」「IF・COUNTIF・VLOOKUPなどの関数の結果」「複数条件(AND/OR)の判定」が定番です。とくに絶対参照($)を付けたセルはコピーしても動かないという点は最頻出。$列$行で固定、片方だけ$を付ける複合参照も押さえましょう。なお試験の表計算では独自の関数名(合計・平均・照合検索など)が使われますが、考え方はExcel等と同じです。条件分岐は 論理演算、照合は SQLのJOIN と共通の発想です。

よくある質問

Q. $B$1、B$1、$B1 の違いは?
A. $は「その直後を固定する」印です。$B$1=列も行も固定(完全固定)、B$1=行だけ固定(列は動く)、$B1=列だけ固定(行は動く)。後ろ2つを複合参照と呼び、九九表のような縦横コピーで活躍します。

Q. VLOOKUPで「探すキー」は表のどこにある必要がある?
A. VLOOKUPは探す表の一番左の列からキーを探します。だからキー列が左端に来るように表を作る必要があります(左端より左は取り出せません)。左でないキーを扱いたい場合は、他の検索関数を使う方法もあります。

Q. #REF! や #DIV/0! などのエラーは?
A. 表計算のエラー表示です。#REF!は参照先が削除された、#DIV/0!は0で割った、#VALUE!は数値でない値を計算した、などが原因。数式の参照やデータ型を見直すと解決します。

まとめ

表計算の要は相対参照と絶対参照。コピーで動かしたくないセルは $ で固定します。関数はSUM/AVERAGE(集計)・IF(条件分岐)・COUNTIF/SUMIF(条件集計)・VLOOKUP(照合)を押さえれば実務も試験もカバーできます。条件分岐は論理演算、照合はSQLのJOINと同じ発想——他分野とつなげて理解すると定着します。

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