PERT図とクリティカルパスをやさしく図解 — 最短完了日と余裕日数
「このプロジェクト、最短で何日で終わる?」「どの作業が遅れるとヤバい?」——それに答えるのがPERT図(アローダイアグラム)とクリティカルパスです。この記事では、作業の依存関係の書き方から、最短完了日数・クリティカルパス・余裕日数の求め方までを、具体例で図解します。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントは、決められた期間・予算・品質でプロジェクトを完了させるための管理です。管理の要素は、よくQCD(Quality=品質・Cost=コスト・Delivery=納期)で語られます。中でも「納期(スケジュール)」を分析する代表的な道具が、これから見るPERT図です。
PERT図(アローダイアグラム)とは
PERT図は、作業を矢印(→)、作業の区切りを丸(結合点・ノード)で表し、作業の前後関係と所要日数を図にしたものです。「Bを始めるにはAが終わっていないといけない」といった依存関係が一目で分かります。次の例で考えます。
| 作業 | 所要日数 | 先に終わっている必要がある作業 |
|---|---|---|
| A | 3日 | なし(最初) |
| B | 5日 | A |
| C | 2日 | A |
| D | 4日 | B・C(両方) |
最短完了日数とクリティカルパス
全体の最短完了日数は、開始から終了までの経路の中で、所要日数の合計が最も長い経路で決まります。なぜなら、Dを始めるにはB・Cの両方が終わっている必要があり、遅い方(=長い経路)を待つしかないからです。経路をすべて足してみます。
| 経路 | 合計日数 |
|---|---|
| A → B → D | 3 + 5 + 4 = 12日 |
| A → C → D | 3 + 2 + 4 = 9日 |
最長はA→B→D の12日。これが最短完了日数であり、この最長経路がクリティカルパスです。クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、全体が1日遅れます。だからここを重点的に管理します。
最早・最遅結合点時刻と余裕(フロート)
各結合点について、2つの時刻を求めます。
| 時刻 | 意味 | 求め方 |
|---|---|---|
| 最早結合点時刻 | そこに最も早く到達できる日 | 開始から前向きにたどり、複数流入は大きい方を採用 |
| 最遅結合点時刻 | 全体を遅らせずに出発してよい最も遅い日 | 終了から後ろ向きにたどり、複数流出は小さい方を採用 |
この2つの差が「余裕(フロート/スラック)」です。余裕がゼロの結合点・作業がクリティカルパス上にあり、遅れが許されません。上の例ではC作業に余裕があります(A→C→Dは9日で、12日まで3日の余裕)。つまりCは3日遅れても全体に影響しない、と読み取れます。
ガントチャートとの違い
スケジュール管理のもう一つの定番がガントチャートです。使いどころが違います。
| PERT図 | ガントチャート | |
|---|---|---|
| 得意 | 作業の前後関係とクリティカルパスの把握 | 各作業の期間・進捗を一目で |
| 見た目 | 矢印と結合点のネットワーク | 横棒(バー)を時間軸に並べる |
| 用途 | 計画・ボトルネック分析 | 進捗管理・状況共有 |
「依存関係を分析するならPERT、進み具合を見るならガントチャート」と覚えましょう。実務では両方を併用します。
基本情報技術者試験ではこう出る
「アローダイアグラムから最短完了日数を求める」「クリティカルパスを特定する」「ある作業に何日の余裕があるか」「最早・最遅結合点時刻を求める」が定番です。押さえるべきは、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)、複数の作業が合流する結合点は、遅い方の完了を待つという2点。余裕=最遅−最早、も頻出です。日程やコストの見積り(信頼性設計と並ぶマネジメント系の定番テーマ)として押さえておきましょう。
よくある質問
Q. ダミー作業とは?
A. 実際には作業しないが、依存関係だけを表すために引く点線の矢印(所要日数0)です。「作業の前後関係はあるが、実作業は伴わない」ことを図で正しく表現するために使います。アローダイアグラム特有の表現で、試験でも出てきます。
Q. クリティカルパスは1本だけ?
A. 複数あることもあります。最長の経路が同じ日数で並んだ場合、それらすべてがクリティカルパスです。その場合、どの経路の作業も遅れが許されません。
Q. 全体を短縮したいときは、どこを縮める?
A. クリティカルパス上の作業を短縮します。余裕のある作業をいくら縮めても全体は変わりません。ただしクリティカルパスを縮めると、別の経路が新たにクリティカルパスになることがあるので、再計算が必要です。
まとめ
PERT図は作業の依存関係を表し、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)で全体の日程が決まります。クリティカルパス上は遅れ厳禁、余裕のある作業は多少遅れてもOK。依存関係の分析はPERT、進捗管理はガントチャートと使い分けます。最短完了日数・クリティカルパス・余裕の3つを求められるようにしておきましょう。
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