PERT図とクリティカルパスをやさしく図解 — 最短完了日と余裕日数

公開: 2026年7月 カテゴリ: マネジメント

「このプロジェクト、最短で何日で終わる?」「どの作業が遅れるとヤバい?」——それに答えるのがPERT図(アローダイアグラム)クリティカルパスです。この記事では、作業の依存関係の書き方から、最短完了日数・クリティカルパス・余裕日数の求め方までを、具体例で図解します。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントは、決められた期間・予算・品質でプロジェクトを完了させるための管理です。管理の要素は、よくQCD(Quality=品質・Cost=コスト・Delivery=納期)で語られます。中でも「納期(スケジュール)」を分析する代表的な道具が、これから見るPERT図です。

PERT図(アローダイアグラム)とは

PERT図は、作業を矢印(→)作業の区切りを丸(結合点・ノード)で表し、作業の前後関係と所要日数を図にしたものです。「Bを始めるにはAが終わっていないといけない」といった依存関係が一目で分かります。次の例で考えます。

作業所要日数先に終わっている必要がある作業
A3日なし(最初)
B5日A
C2日A
D4日B・C(両方)
PERT図:丸=結合点、矢印=作業(上に作業名・日数) A(3日) B(5日) C(2日) D(4日) 赤い経路(①→②→③→④=A→B→D)が最長=クリティカルパス
図1: 結合点④に入るにはB(経由)とCの両方の完了が必要。最長経路がプロジェクトを支配する

最短完了日数とクリティカルパス

全体の最短完了日数は、開始から終了までの経路の中で、所要日数の合計が最も長い経路で決まります。なぜなら、Dを始めるにはB・Cの両方が終わっている必要があり、遅い方(=長い経路)を待つしかないからです。経路をすべて足してみます。

経路合計日数
A → B → D3 + 5 + 4 = 12日
A → C → D3 + 2 + 4 = 9日

最長はA→B→D の12日。これが最短完了日数であり、この最長経路がクリティカルパスです。クリティカルパス上の作業が1日でも遅れると、全体が1日遅れます。だからここを重点的に管理します。

最早・最遅結合点時刻と余裕(フロート)

各結合点について、2つの時刻を求めます。

時刻意味求め方
最早結合点時刻そこに最も早く到達できる日開始から前向きにたどり、複数流入は大きい方を採用
最遅結合点時刻全体を遅らせずに出発してよい最も遅い日終了から後ろ向きにたどり、複数流出は小さい方を採用

この2つの差が「余裕(フロート/スラック)」です。余裕がゼロの結合点・作業がクリティカルパス上にあり、遅れが許されません。上の例ではC作業に余裕があります(A→C→Dは9日で、12日まで3日の余裕)。つまりCは3日遅れても全体に影響しない、と読み取れます。

ガントチャートとの違い

スケジュール管理のもう一つの定番がガントチャートです。使いどころが違います。

PERT図ガントチャート
得意作業の前後関係とクリティカルパスの把握各作業の期間・進捗を一目で
見た目矢印と結合点のネットワーク横棒(バー)を時間軸に並べる
用途計画・ボトルネック分析進捗管理・状況共有

「依存関係を分析するならPERT、進み具合を見るならガントチャート」と覚えましょう。実務では両方を併用します。

基本情報技術者試験ではこう出る

「アローダイアグラムから最短完了日数を求める」「クリティカルパスを特定する」「ある作業に何日の余裕があるか」「最早・最遅結合点時刻を求める」が定番です。押さえるべきは、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)複数の作業が合流する結合点は、遅い方の完了を待つという2点。余裕=最遅−最早、も頻出です。日程やコストの見積り(信頼性設計と並ぶマネジメント系の定番テーマ)として押さえておきましょう。

よくある質問

Q. ダミー作業とは?
A. 実際には作業しないが、依存関係だけを表すために引く点線の矢印(所要日数0)です。「作業の前後関係はあるが、実作業は伴わない」ことを図で正しく表現するために使います。アローダイアグラム特有の表現で、試験でも出てきます。

Q. クリティカルパスは1本だけ?
A. 複数あることもあります。最長の経路が同じ日数で並んだ場合、それらすべてがクリティカルパスです。その場合、どの経路の作業も遅れが許されません。

Q. 全体を短縮したいときは、どこを縮める?
A. クリティカルパス上の作業を短縮します。余裕のある作業をいくら縮めても全体は変わりません。ただしクリティカルパスを縮めると、別の経路が新たにクリティカルパスになることがあるので、再計算が必要です。

まとめ

PERT図は作業の依存関係を表し、最短完了日数=最長経路(クリティカルパス)で全体の日程が決まります。クリティカルパス上は遅れ厳禁、余裕のある作業は多少遅れてもOK。依存関係の分析はPERT、進捗管理はガントチャートと使い分けます。最短完了日数・クリティカルパス・余裕の3つを求められるようにしておきましょう。

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